稚内を目指した冬の北海道旅 〜「行かない」という選択が教えてくれたこと〜(最終話)
- cleanest 100

- 1月22日
- 読了時間: 3分

今回の北海道旅行は、結果として「稚内に行けなかった旅」でした。
それは事実ですし、最初に描いていたゴールに辿り着けなかった、という意味では未完の旅だったのかもしれません。
けれど今、振り返って強く思うのは、この旅は、私自身の仕事——登山ガイドという立場に、深くつながる旅だったということです。
判断とは、「正解を当てること」ではない
登山でも、旅でも、私たちはつい「正解」を探してしまいます。
行くべきだったのか
行かなかったのは臆病だったのか
もう少し待てば状況は変わったのではないか
けれど、実際の現場にあるのは結果がわかる前の判断だけです。
天候、交通、時間、体力、経験。
限られた情報の中で、「今、この時点でどうするか」を決めること。
今回の旅で繰り返していたのは、まさにその連続でした。
ガイド業で、私が一番大切にしていること
登山ガイドとして、私が一番大切にしているのは、 「行くこと」ではなく、「無事に帰ること」です。
山頂に立つことは、確かに魅力的です。
けれど、山頂に立たなくても、価値のある登山はいくらでもあります。
むしろ、
天候が崩れそうなとき
ペースが想定より遅れているとき
不安を感じる参加者がいるとき
そんな場面で「今日はここまでにしましょう」と伝える判断こそ、ガイドの責任だと思っています。
「行かない決断」は、失敗ではない
世の中では、撤退や中止、変更はどうしてもネガティブに受け取られがちです。
でも私は、行かない決断は、失敗ではなく“成功の一部”だと考えています。
無理をしない。
リスクを過小評価しない。
そして、次につなげる余白を残す。
今回の旅で稚内に行かなかったことも、まさにそれでした。
どうやって「行かない判断」を伝えるか
ガイドとして難しいのは、判断そのものよりも、伝え方です。
「残念ですね」
「今回は行けません」
その一言で終わらせてしまうと、どうしても“奪われた感”が残ってしまいます。
だから私は、なぜそう判断したのか その判断が何を守っているのかを、できるだけ丁寧に伝えるようにしています。
今回の旅でも、自分自身に対して、同じことをしていました。
辿り着けなかった場所は、次の理由になる
稚内は、まだ地図の先にあります。
けれどそれは、「失われた目的地」ではありません。
「次に行く理由が残った場所」です。
登山も同じです。
撤退した山は、次の挑戦を否定しません。
むしろ、より良い条件で、より良い判断をするための材料になります。

(日本最北端の地「稚内」)
この旅を、これからのガイドに活かす
今回の北海道旅行は、
判断に迷う時間
情報を集め続けた過程
行き先を変える決断
そして納得して帰る選択
そのすべてが、これから私が現場で行う判断の、確かな土台になりました。
「行けるか」ではなく「行っていいか」を考える。
その姿勢を、これからも大切にしていきたいと思います。
最後に
旅は、予定通りにいかないからこそ、学びがあります。
そして、行かなかった場所があるからこそ、次の一歩に意味が生まれます。
今回の旅は、稚内に行けなかった旅でした。
でも、
自分の判断を信じるという点では、確かに前に進んだ旅でした。

(余市駅から歩いて、荒々しい冬の余市湾を眺めに)

(雪のため20分遅れで新千歳空港出発)

(今回の旅の思わぬ副産物)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





























私にとってガイド料は、専門的な判断と安全管理によって得られる【安心感】への対価です。
だからこそ、専門的な立場から下されるガイドさんの最終的な判断に委ねています。
判断に迷い、
情報を集め、
行き先を変える決断をし、
納得して帰るという選択。
辿り着けなかった旅…
それはどこか人生そのもののようにも感じられました。
的確な判断と決断をしてくださるガイドさんなので、とても安心できます。
これからもよろしくお願いします。